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マスタードの種は憂鬱を封じ込めてタイムカプセルの様に土の中深くに埋まって時を過ごし、芽を出す時を待っています。
その憂鬱は何処から来たものなのか全く見当も付かない。
まだ物心がつく前のものだったり生まれる前にお母さんのお腹の中で感じとったもの、それどころか前世からのカルマであるとも言われています。
とにかく今の自分には理由など分かるはずも無く、只々深い憂鬱に包まれて何もできない状態にたびたび包まれるのがマスタードのマイナス状態です。
マスタードは畑に生える厄介な雑草で、むしってもむしっても生えてくる嫌われもの。姿はお馴染みの菜の花と一緒で、輝くような黄色い花を咲かせます。葉っぱは少しギザギザしていて口に含むとピリッとした辛さと旨味を強く感じます。
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嫌われても嫌われても芽を出し続ける強いマスタード。辛い気持ちを小さく種に閉じ込めて土の中で何年も目覚めの時を待っているのです。
秋の収穫を終えた畑がトラクターでかき回されると深い土の中から表面近くにマスタードの種が押し上げられてくる。その種に触れるたびに憂鬱に襲われる…
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人生は螺旋階段。ひと回りして上の階へと上がる前に、マスタードの洗礼に会うのかも知れません。
マスタードのマイナス状態がプラスに変わると、どんな憂鬱に包まれても心を静かに保ち辛い経験を人生の糧に出来るようになるのです。
そんな貴方は花を咲かせたマスタードのように、眩しいような輝きと深みのある魅力的な大人になっている事でしょう。
余談ですが春の菜花をさっと茹でてフレンチドレッシングに粒マスタードを加えて和えると、大人の味がしてとても美味しいです。
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